前回まで、将来の身体が不自由な状況や判断能力の低下に備える「財産管理等委任契約」や「任意後見契約」についてお話しました。これらの契約は、言わば リスク に備える「保険」のようなものとも言えるでしょう。身体や判断能力の衰えはという、リスク は個人差があるので、「財産管理等委任契約」や「任意後見契約」は、「ついに使うことがなかった」 ということも充分にあり得ます。
今回は、「死後事務委任契約」についてお話します。
人は必ず死亡します。
従いまして、誰にでも 「死後事務」 は必ず発生します。そして、誰かに必ず「死後事務」を行ってもらわなければなりません。「死後事務委任契約」は必ず発生する そのとき を想定して備えておく契約です。
確かにネーミングは良くないです。
しかし、ご遺族のご負担の軽減やご遺族や身近な親族がいない方にとっては非常に重要な契約だと思います。
具体的な 死後事務 の例です。
➀ 死亡した際の、あらかじめ指定された親族など関係者への連絡事務
② 通夜、告別式に関する事務
③ 火葬、納骨に関する事務
④ 永代供養に関する事務
⑤ 老人ホーム等の施設利用料の支払と入居一時金等の受領に関する事務
➅ 公共料金等、その他の契約の名義変更、解約、清算手続きに関する事務
⑦ 医療費、入院費等の清算手続きに関する事務
⑧ 行政官庁等への諸届け事務(ただし、死亡届を除く。)
⑨ 公租公課に関する事務
⑩ 住居ないし入居先での甲の遺品整理に関する事務
⑪ 以上の各事務に関する費用の支払い事務
列記すると、死後事務は多岐に亘っていることがよくわかります。
「私が亡くなったら誰がやってくれるのだろう?」と気がかりになっている方が多いと思いのではないでしょうか。