こんにちは、相続・終活・家族信託サポート有馬事務所です。
障がいのあるお子さんを育てていらっしゃるご家庭にとって、「後見制度」は避けて通れないテーマの一つです。日本の法律では、事理弁識能力を欠く状態にある方は、銀行預金の引き出しや施設との契約、病院への入院契約といった法律行為を行うことができません。これらの行為を適法に行うためには、「後見制度」の利用が必要になります。
ただ、後見制度について詳しく知る機会は決して多くありません。そのため、いざ制度が必要になってから初めて内容を知り、想像していたものとの違いに戸惑われる方も多くいらっしゃいます。
今回は、そんな障がいのあるお子さんのための「後見制度」についてお話ししていきたいと思います。
判断能力が不十分と判断されると、預貯金の管理や各種契約、相続手続きなどを本人だけで行うことはできません。その場合、家庭裁判所に申立てを行い、法定後見人を選任することになります。このとき、「家族が後見人になるのでは」と考える方も多いのですが、実際の運用は異なります。
家庭裁判所では、法定後見人は原則として第三者が選任されており、実際には8割以上が弁護士や司法書士などの専門職後見人です。
第三者後見人が選任されると、後見は原則として本人が亡くなるまで続きます。その間、後見人への報酬が継続的に発生し、財産の管理や支出についても裁判所のルールに基づいた厳格な運用が求められます。親として「このような生活をしてほしい」「このお金は将来のために残してあげたい」と考えていても、そうした思いを反映させることが難しくなるケースも少なくありません。
こうした状況を避けるために、ぜひ知っておいていただきたいのが「任意後見制度」です。未成年のうちであれば、親権を使って任意後見契約を結ぶことができ、将来後見が必要になったときに、両親や親族など信頼できる方に後見人になってもらうことが可能です。
知的障がいなどがあり、将来的に判断能力に不安があるお子さんについては、18歳になる前であれば、この任意後見契約という選択肢があります。しかし、18歳を超えてしまうと、本人に契約能力がないと判断される場合、任意後見契約を結ぶこと自体ができなくなってしまいます。
任意後見契約をしておくことで、将来どのタイミングで後見を開始するのか、誰に支援を任せるのかを、親の意思をもとにあらかじめ決めておくことができます。たとえば、親が元気なうちはこれまで通り生活し、判断能力が低下した段階で信頼できる人が後見人として支援を始める、といった形も可能です。生活費や医療・福祉に関する支出を優先して管理してほしいといった考えを反映させることもできます。
何かが起きてから法定後見を検討するのではなく、選択肢が残されているうちに準備をしておくこと。その差は、将来のお子さんの生活や、ご家族の負担に大きく影響します。
今のうちにできる備えが、将来の安心につながります。